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【雑記】運指に従う程度の問題:目的ではなく手段
ピアノで「楽譜に書かれている運指(指使い)には従いましょう」という話は頻繁に言われていることであろうと思います。周りを見ていても「弾きにくいけれど、書いてある運指には従わなきゃ!」という声が時々聞かれますし、それに賛同する声も少なからずあることを認識しています。...

Satoshi Enomoto
2022年5月3日読了時間: 6分


【コンサート後記】《月に憑かれたピエロ》への初挑戦
4/20のコンサート『ドイツ音楽の夕べ』/『月に憑かれたピエロ』が終演しました。聴きに来てくださった皆様、本当にありがとうございました。 普段「シェーンベルクを研究している」などと宣ってはいるものの、演奏する機会がそうそう巡ってくるわけでもなく、今回のコンサートが僕にとって...

Satoshi Enomoto
2022年4月23日読了時間: 5分


【名曲紹介】シェーンベルク《月に憑かれたピエロ》Op.21
僕のブログで何度も登場しているシェーンベルクですが、彼の作品の中には、彼自身の経歴のみならず、西洋音楽史上でも重要な作品がいくつか存在します。既に僕が色々なところで弾いている《3つのピアノ曲》Op.11や《6つのピアノ小品》Op.19などもそれらのうちの一つではありますが、それらよりも高い知名度を持ち、どころかシェーンベルクの代名詞とも言えるような作品をまだ紹介していませんでした。 それこそが、シュプレヒシュティンメという唱法を用いる声と特殊な編成の室内楽のためのメロドラマ《月に憑かれたピエロ》です。ベルギーの象徴派詩人アルベール・ジローの50篇から成る詩集『月に憑かれたピエロ ── ベルガモのロンデル』をオットー・エーリヒ・ハルトレーベンがドイツ語訳したものの中から21篇の詩をピックアップしてテキストに用いています。ロンデルというのは詩の形式でありまして、4行・4行・5行という3節から成り、1・2行目が7・8行目で繰り返され、最後の13行目も1行目が繰り返されます。詩としてはむしろ厳格な形式を採っているわけですが、音楽は非常に自由な展開を見せ

Satoshi Enomoto
2022年4月3日読了時間: 9分


【感想】横山博ピアノリサイタル『ジョン・ケージを探せ!』
2022年3月27日に行われた、ピアニスト横山博さんのリサイタル『ジョン・ケージを探せ!』の感想を書かせていただきたいと思います。 今回のリサイタルはケージとフェルドマンをメインに据え、そこにグラスと坂本龍一の映画音楽を交えたオール現代プログラム。フェルドマンとケージはもう...

Satoshi Enomoto
2022年3月30日読了時間: 5分


【名曲紹介】シェーンベルク《3つのピアノ曲》Op.11:表現主義、ロマン派の継承と意識的作意の排除
シェーンベルク(1874-1951)は、出発点こそ後期ロマン派的作風でしたが、後に機能和声の放棄と十二音音楽の確立を成し遂げ、ユダヤ人としてのアイデンティティから音楽による政治参加にも踏み込んだ、西洋音楽史上でも重要な位置にいる作曲家です。 音楽的に多くのことを試みた作曲家ではありますが、その作品数は活動期間に比して意外に多くありません。最後の作品である《現代詩篇》が「Op.50c」という作品番号を持っています。ピアノが関わる曲に関しても、他の作曲家たちに比べると少ない方でしょう(…とは言っても、新ウィーン楽派として優秀な門下生であったベルクやヴェーベルンの方がもっと少ない)。 シェーンベルクのピアノ1台で演奏される曲の中でも、断片などを除いて一応は演奏会のプログラムとして入れられるであろう作品を列挙してみます。 《3つのピアノ曲(1894)》 《4手のための6つのピアノ小品》 《3つのピアノ曲》Op.11 《6つのピアノ小品》Op.19 《5つのピアノ曲》Op.23 《ピアノのための組曲》Op.25 《ピアノ曲》Op.33a 《ピアノ曲》O

Satoshi Enomoto
2022年3月2日読了時間: 7分


【演奏会告知】『ドイツ音楽の夕べ』/『月に憑かれたピエロ』:ドイツ音楽の19世紀→20世紀
2022年には個人的にも大きな位置を占める本番がいくつか予定されています。その最初のものが、1月に開催した『古典派のやさしいソナタ』でした。古典派のソナタを5曲(+アンコールの悲愴)連続で弾くともなると、これはなかなか気軽に開催できるものではないわけです。2月、3月とソロの...

Satoshi Enomoto
2022年2月25日読了時間: 5分


【演奏会告知】表現主義に踏み出すシェーンベルク:及川音楽事務所スプリングサロンコンサート
今月はファリャ→バルトークという近代民族主義音楽をお送りしました。この後は、依頼として受けている伴奏を色々こなしつつも、焦点は4月の《月に憑かれたピエロ》公演へと合わせていきます。そちらの稽古も始まるのでいよいよ忙しくなるのですが、やはり《月に憑かれたピエロ》に関しては、演...

Satoshi Enomoto
2022年2月20日読了時間: 4分


【名曲紹介】ファリャ《ベティカ幻想曲》:アンダルシア民族への賛歌
近代スペインの作曲家 ファリャ(Manuel de Falla, 1876-1946)の名前は、クラシックを聴いている人の中でも特にスペインやバレエ方面に興味を持たない限りは触れる機会もそこまで多くないかもしれません。決して無名な作曲家ではないのですが、そもそもスペインのクラシック自体が他国と比べて影が薄いという状況はあるように思います。確かに時代のメインストリームという立ち位置ではないでしょうし。 ファリャの生地はアンダルシア地方の町カディス。マドリードに移住してからはマドリード王立音楽院教授であったトラゴにピアノを師事し、同時期には作曲も試みていきます。 1902年から1904年にかけて、ファリャは当時のスペイン民族音楽研究の第一人者であったペドレル(Felipe Pedrell, 1841-1922)に作曲を師事しました。ペドレルはグラナドスの師でもあり、アルベニスを民族主義に引き入れた人物でもあります。ファリャの音楽における民族主義路線も、ペドレルからスペイン音楽史や民族音楽の書法を学んだことに大きな影響を受けているでしょう。...

Satoshi Enomoto
2022年2月9日読了時間: 6分


【演奏会告知】バルトークの民謡編曲:及川音楽事務所ウィンターサロンコンサート
今月の本番は2つあるのですが、どちらも出演を決めたのは1月の頭のことでした。まだコロナもあまり感染拡大しておらず、それこそ先の1/22にどうにか行った『古典派のやさしいソナタ』も「まあどうにかいけるでしょ!」くらいに思っていた時期です。まさかこんなにもなろうとは…...

Satoshi Enomoto
2022年2月3日読了時間: 4分


【演奏会告知】スペイン・ポルトガルのクラシック:及川音楽事務所フレッシュガラコンサートVol.211
僕が住んでいる神奈川県にも、コンサートをやる東京都にも蔓延防止等重点措置が発令され、新規感染者も過去最多を記録していて、演奏会告知自体が躊躇われる時期になりました。 実はそんな中でも2月には13日(日)、19日(土)と、2つ本番があります。どう考えても感染拡大による集客爆死...

Satoshi Enomoto
2022年1月24日読了時間: 4分


【雑記】ピアノ弾きが陥りやすい(?)バッハ観の話
周りを見ていて、色々な音楽に対する色々な意見を目にすることは多々あります。その人にとってそのように受け止められているということ自体は決して悪いことだとは思いません…が、それによって世界への視野が狭い方へと収束していくことを勿体無いとは思います。...

Satoshi Enomoto
2021年12月23日読了時間: 3分


【雑記】精霊を解放するイメージで楽器を演奏すること:ケージとフィッシンガーの逸話から
一つ断りを入れておきますと、僕自身はスピリチュアルなものに対して本当にどうも受容性がありません。オカルトとかむしろ好きな方だったりもするのですが、それに関してもどちらかというと人間の想像力の逞しさの方に感銘を受けているのでありまして、特に内容を信じているわけではないというの...

Satoshi Enomoto
2021年11月27日読了時間: 3分


【雑記】「練習しなくても形にできる力」の明と暗
職業として音楽家をやっていくにあたって、必要な技術や能力は色々と挙げられるでしょう。体力ももちろんですし、知性や度胸、さらには社交性や運などといったものさえ決して無関係ではないと思います。「音楽の世界は(広義の)コネです」という言葉は実際かなり正直なものだと言ってよいかもし...

Satoshi Enomoto
2021年11月8日読了時間: 5分


【出演告知】バッハから100年前と100年後:及川音楽事務所オータムサロンコンサートⅥ
すっかり伴奏依頼にかまけてソロの演奏をしていなかった榎本です。6月の配信ライヴ以来でしょうか。本来ならば10月半ばにもコンサートがあったはずが、先日までの感染拡大の影響を受けて延期となりました。昨日の神奈川県の新規感染者数は200人を下回りましたし、僕の知り合いも複数人餌食...

Satoshi Enomoto
2021年9月26日読了時間: 5分


【雑記】伴奏に乗る技術、音楽に乗る力
普段、合唱や声楽、器楽の伴奏をしていて「こちらは伴奏者として音楽の流れを用意してその誘導まで出しているので、それをきちんと感知して乗ってきてほしい」と感じることがあります。 声楽だと流石に歌だけパート譜を使うなどということは滅多に無く、ピアノが何をしているかを把握している人...

Satoshi Enomoto
2021年9月11日読了時間: 3分
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