• Satoshi Enomoto

【雑記】ベートーヴェンの3大ソナタとその他のソナタ


 たまに書いている名曲紹介とはまた別枠です。


 今回はベートーヴェンの "3大ソナタ" と呼ばれているソナタ等について、普段なんとなく思っていることを書きます。本当に紹介する時は一曲一曲分けて書きます。


 ベートーヴェンのピアノソナタは、誰が言ったか "ピアノの新約聖書" などと呼ばれ、世のピアニストたちにとっての憧れでもありましょう。ベートーヴェンという作曲家の音楽自体が苦手という人もちらほら観測しますが、クラシックの中でも特に人気の高い作品群であることは誰しも認めるところでしょう。


 その中でも、『悲愴』『月光』『熱情』と呼ばれる3曲が、セットで「3大ソナタ」と呼ばれたりするわけです。何を隠そう、僕が人生で初めて買ったCDもこの3大ソナタ(演奏はアシュケナージ)でした。


 この3大ソナタをセットで弾くピアニストは非常に多いと言えるでしょう。コンサート然り、CD然りです。ベートーヴェンのピアノソナタでひとまず何を聴いておけばいい?と問われて出てくるのもやはりこの3曲かなといったところですね。『テンペスト』『ワルトシュタイン』『告別』『ハンマークラヴィーア』と呼ばれるソナタや、最後の3曲(第30番~第32番)なども人気は高いですが、3大ソナタほどではないでしょう。


 ちなみにご存じの方は多いと思いますが確認しておきますと、『悲愴』と『告別』は作曲者自身の命名で、残りは通称です。



 いやいや、そんなただの情報を書こうとしたのではないのですよ。


 普段なんとなく思っていることというのは、ピアノの新約聖書だの何だのと持ち上げられる割には注目されるソナタがその半分以下では?ということなのです。3大ソナタや通称のあるソナタや後期ソナタがピアノ弾きの憧れなのはいいとして、それ以外はどうなのかということです。


 もちろん個人の好みレベルではいくつかのソナタが愛好されている事実もあることは知っています。しかしそれにしても、他のソナタの影が薄いような気はするのであります。


 個人的なオススメだけでも…いきなりインパクトのある第1番、隠れた超大作である第4番、メスト楽章が絶品の第7番、実は初期作品である素朴な第19番第20番、『悲愴』と同時期に書かれた明るく溌剌とした第9番第10番、初期の最後を飾る自信作の第11番、ソナタ楽章は無いのに葬送行進曲はある第12番、『月光』の兄弟作で全編ノンストップの第13番、2楽章構成で短いながらも独特の味わいがある第22番第24番(『テレーゼ』とも呼ばれる)・第27番、ソナチネとも呼ばれるユーモラスな第25番、そして忘れてはいけない、習作ながらも既に個性的な『選帝侯ソナタ』3曲と、さらには初期の短い4手のためのソナタ


 1曲1曲を早口のオタク口調で語り倒すこともできると思いますが、それはまたの機会に…


 それにしても、有名ではないソナタが弾かれる機会がそこまで多くない(全曲マラソンか、特定のピアニストが取り上げるだけ)という現実は、プログラムを組む都合等から仕方のない面もあるのですが、それにしてももっと認知されてもよかろうと思っているのです。それこそ3大ソナタほどではなくとも、『テンペスト』などあたりと同じくらいの知名度をもってほしいと願っていますね。


 「ベートーヴェンのピアノソナタは32曲あります。それらはピアノの新約聖書と呼ばれています」という情報を言うだけなら簡単です。全部弾けとは言いませんから、興味をもって全曲鑑賞スタンプラリーでもやってみると、見えてくるものもあるかもしれないと思います。


 ベートーヴェンは実験的な姿勢で作品を作っておりまして、ソナタにもまた1曲1曲に様々な創意工夫が施されています。その遍歴を辿る面白さは、名曲つまみ食いではわからないものです。


 実はいくつか有名なものも含めて練習中だったりするのですけれど、それも小出しにしていきたいですし、今後少しずつブログでも言及できたらと思います。



 …などと言いつつ、6/12(土)に行う演奏会(?)のプログラムに《4手のためのソナタ》を選んだ理由の一つはそれだったりもします。


 企画テーマ的には他の曲でも差し支えはありませんでしたし、事実他の曲も候補には挙がっていました。《マ・メール・ロワ》でも《梨の形をした3つの小品》でも、モーツァルトのいくつかの断片でもよかったのです。


 もちろんこの実験企画について良いサイズ感だったことが決め手になったのですが、お馴染みのソナタばかりが並びがちな現状に少し逆らう意味も込めています。


 そこでもベートーヴェンなりの実験姿勢の解説をその場で掘り返せたらと思います。以後ベトソナ、ご期待ください。

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