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【名曲紹介】シェーンベルク《3つのピアノ曲》Op.11:表現主義、ロマン派の継承と意識的作意の排除
シェーンベルク(1874-1951)は、出発点こそ後期ロマン派的作風でしたが、後に機能和声の放棄と十二音音楽の確立を成し遂げ、ユダヤ人としてのアイデンティティから音楽による政治参加にも踏み込んだ、西洋音楽史上でも重要な位置にいる作曲家です。 音楽的に多くのことを試みた作曲家ではありますが、その作品数は活動期間に比して意外に多くありません。最後の作品である《現代詩篇》が「Op.50c」という作品番号を持っています。ピアノが関わる曲に関しても、他の作曲家たちに比べると少ない方でしょう(…とは言っても、新ウィーン楽派として優秀な門下生であったベルクやヴェーベルンの方がもっと少ない)。 シェーンベルクのピアノ1台で演奏される曲の中でも、断片などを除いて一応は演奏会のプログラムとして入れられるであろう作品を列挙してみます。 《3つのピアノ曲(1894)》 《4手のための6つのピアノ小品》 《3つのピアノ曲》Op.11 《6つのピアノ小品》Op.19 《5つのピアノ曲》Op.23 《ピアノのための組曲》Op.25 《ピアノ曲》Op.33a 《ピアノ曲》O

Satoshi Enomoto
2022年3月2日読了時間: 7分


【名曲紹介】ファリャ《ベティカ幻想曲》:アンダルシア民族への賛歌
近代スペインの作曲家 ファリャ(Manuel de Falla, 1876-1946)の名前は、クラシックを聴いている人の中でも特にスペインやバレエ方面に興味を持たない限りは触れる機会もそこまで多くないかもしれません。決して無名な作曲家ではないのですが、そもそもスペインのクラシック自体が他国と比べて影が薄いという状況はあるように思います。確かに時代のメインストリームという立ち位置ではないでしょうし。 ファリャの生地はアンダルシア地方の町カディス。マドリードに移住してからはマドリード王立音楽院教授であったトラゴにピアノを師事し、同時期には作曲も試みていきます。 1902年から1904年にかけて、ファリャは当時のスペイン民族音楽研究の第一人者であったペドレル(Felipe Pedrell, 1841-1922)に作曲を師事しました。ペドレルはグラナドスの師でもあり、アルベニスを民族主義に引き入れた人物でもあります。ファリャの音楽における民族主義路線も、ペドレルからスペイン音楽史や民族音楽の書法を学んだことに大きな影響を受けているでしょう。...

Satoshi Enomoto
2022年2月9日読了時間: 6分


【名曲紹介】瀧廉太郎《組歌『四季』》:日本風・実験的カンタータ?
瀧廉太郎のピアノ作品についての記事をかなり前に書きました。僕自身がピアノ弾きである分、ピアノ作品にどうしても愛着があるのですが、瀧廉太郎の創作活動は専ら声楽作品が主軸であったというのが現実です。 そのうちのいくつかは学校の教科書にも載っていて、音楽を専門的に学んだことがない...

Satoshi Enomoto
2021年10月1日読了時間: 7分


【名曲紹介】サティ《星たちの息子》:四度堆積和音の神秘的な響き
「異端児」の名で呼ばれた作曲家と聞いて真っ先に思い浮かぶのはサティ(Erik Satie, 1866-1925)でしょうか。 フランスのオンフルールに生まれ、幼少のうちに一家でパリへ移住します。既に音楽には興味を示していたようで、オルガニスト・聖歌隊長であったヴィーノとい...

Satoshi Enomoto
2021年7月15日読了時間: 6分


【名曲紹介】ベートーヴェン《ピアノソナタ第4番》Op.7
ベートーヴェンの初期のピアノソナタの中で、第8番『悲愴』以外の曲はあまり顧みられないように感じます。確かに勉強として弾くことはあっても、やはり知名度や演奏効果の面で『悲愴』の地位は不動であり、他の初期ソナタをまとめて聴ける機会は貴重と言えるかもしれません。 そんな初期ソナタの中にも、抜きん出た存在感をもつものがいくつかあります。その一つが、第29番 "ハンマークラヴィーア" に次いで規模の大きい 第4番 です。 第1番から第3番までは3曲まとめて Op.2 、第5番から第7番までも3曲まとめて Op.10 という番号が与えられている様子だけ見ても、やや目立った存在であると認識する人は少なくないかもしれません。そのイメージ以上に音楽の中身はエネルギッシュなものになっており、技巧的にも非常に難しい部類に入ります。 また作曲者自身は第4番を「Die Verliebte(愛する人)」と呼んでいたようで、特に裏の意味は無いと思うのですが、とても力を入れた作品であったのでしょう。現実の出来事に結び付けるには無理があるにせよ、大胆不敵で熱情的な性格である

Satoshi Enomoto
2021年6月9日読了時間: 5分


【名曲紹介】ベートーヴェン《ピアノソナタ第19番 & 第20番》Op.49
ピアノ学習者が "ソナタ" を勉強するにあたって用いられるピアノソナタがいくつか存在します。一般的にはその前段階として小さなソナタたる "ソナチネ" に取り組む場合が殆どであると思いますが、そこからソナタへの移行時に取り組まれる定番があるわけですね。 ハイドンの Hob.XVI: 35 、モーツァルトの KV 545 あたりが真っ先に挙がるでしょうか。どちらも調がC-Durであるという要因もあってか、人生初ソナタはおよそこのどちらかという場合が多いと思われます。 ところで、このハイドンとモーツァルトとセットで語られるベートーヴェンにも、比較的そのような立ち位置のソナタがあります。それが 第19番 g-moll と 第20番 G-Dur という 『2つの易しいソナタ』Op.49 です。 「Op.49」という作品番号が与えられ、数字だけ見ると実験意欲溢れる中期の作曲のように見えますが、実際には第19番・第20番ともに 第4番 Op.7 などの初期ソナタと殆ど同じ時期に書かれたものです。より細かく言えば第20番は第1番~第3番のセットOp.

Satoshi Enomoto
2021年6月8日読了時間: 6分


【名曲紹介】シューマン《主題と変奏》
現在の環境大臣が「おぼろげながら浮かんできたんです」という理由で温室効果ガス削減目標の数値を打ち出したことが話題になりました。僕の住んでいる選挙区から出ている方なのですが、いやはや… その話は記録に留めておくにして、このコメントから思い起こした音楽作品がありました。音楽作品...

Satoshi Enomoto
2021年4月27日読了時間: 4分


【名曲紹介】オペラ作曲家ヴェルディのピアノ曲
ジュゼッペ・ヴェルディ(Giuseppe Verdi, 1813~1901)と言えば、イタリアを代表するオペラ作曲家の一人です。オペラ自体がイタリア音楽の主産業、みたいな節もありますが、その中でも上位に食い込む人気ぶりでしょう。《ナブッコ》《仮面舞踏会》《ドン・カルロ》《ア...

Satoshi Enomoto
2021年2月16日読了時間: 4分


【名曲紹介】瀧廉太郎の2つのピアノ曲
瀧廉太郎(1879~1903)の名前は、特に音楽を趣味としているわけでない人でさえも聞いたことがあるでしょう。というか、中学校の音楽で《荒城の月》か《花》のどちらかを歌ったであろう人が殆どであると思いますし、または《箱根八里》を聴く機会もあったかもしれません。ただ、実際に一...

Satoshi Enomoto
2020年8月27日読了時間: 4分


【名曲紹介】チェルニー《ピアノソナタ第1番》:エチュードだけじゃない、ベートーヴェンの後継者
「チェルニー」の名を聞けば、ピアノを習った経験のある方々は揃ってあの苦行のようなエチュードを思い起こすでしょう。 30番練習曲集(30曲から成る《技巧練習曲》Op.849)から始めて、それが終わったら40番練習曲(40曲から成る《速度教本》Op.299)、そしてそれが終わっ...

Satoshi Enomoto
2020年8月14日読了時間: 7分


【名曲紹介】遊ぶベートーヴェン:“小品”の魅力
ベートーヴェン(Ludwig van Beethoven, 1770~1827)と言えばクラシック音楽においては巨人の中の巨人、誰もがその存在と作品群を崇め奉ってきた作曲家でしょう。 僕がピアニストなので今回はピアノ作品に焦点を当てたいのですが、まず彼のピアノ作品の中で何が...

Satoshi Enomoto
2020年7月19日読了時間: 6分


【名曲紹介】シューベルト《魔王》:4つの《魔王》と試行錯誤
シューベルト(Franz Peter Schubert, 1797~1828)の名前は誰もが中学校の音楽の鑑賞の授業で耳にしていると思います。その31年という短い生涯において、膨大な数の、しかもクオリティの高いドイツ語歌曲を書き、歌曲王と呼ばれて西洋音楽史に名を残しました。...

Satoshi Enomoto
2020年7月15日読了時間: 4分


【名曲紹介】シュルホフ《5つのピトレスク》Op.31
新型コロナウィルス対策として、名古屋市教育委員会は音楽の授業で「心の中で歌う」という活動を取り入れるように指針を出しました。 音楽を心の中で捉えられるようにすることは、コロナ禍に関係無く大切なことです…が、やはり音響や演奏による負荷といった実体験を伴わなければ音楽の重量を知...

Satoshi Enomoto
2020年5月22日読了時間: 6分


【名曲紹介】信長貴富《初心のうた》
最近になってとうとう政治に対して意見を表明する人が増えてきたように思います。 これまではできるだけ波風を立てずにいた方が変な損害を被らずに済み、それで実際生活や仕事もうまく回っていたということは事実でしょう。 しかしやはり、此度のコロナ禍その他によって「政治が自分たちの生活...

Satoshi Enomoto
2020年5月17日読了時間: 7分


【名曲紹介】モーツァルト《ロンド》KV485:転調と形式の大実験
しばらく放置していた名曲紹介もたまには書いていきます。 今回取り上げるのは、ピアノ学習者ならば必ず一度は弾くことになるであろう、モーツァルトの《ロンド》KV485です。全音のソナチネアルバムにも収録されていますね。僕も中学生の時に弾きました。実際、技術的難易度は比較的易しい...

Satoshi Enomoto
2020年5月4日読了時間: 4分
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