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  • 執筆者の写真Satoshi Enomoto

【演奏会告知】スペイン・ポルトガルのクラシック:及川音楽事務所フレッシュガラコンサートVol.211


 僕が住んでいる神奈川県にも、コンサートをやる東京都にも蔓延防止等重点措置が発令され、新規感染者も過去最多を記録していて、演奏会告知自体が躊躇われる時期になりました。


 実はそんな中でも2月には13日(日)、19日(土)と、2つ本番があります。どう考えても感染拡大による集客爆死が見えているのですが、ご来場に負担の無い方だけでも来ていただければ万々歳といったところです。なお、僕個人のお仕事事情としましてはむしろ3月の仕事が消え始めていますね。


 この記事では13日の方の告知をさせていただきます。一応は蔓延防止等重点措置の対象期間最終日ということで、奇跡的にでも感染拡大が落ち着いていればよいのですが…



2022年2月13日(日)

14:30開場 14:40開演

及川音楽事務所フレッシュガラコンサートVol.211


会場:としま区民センター小ホール

 池袋駅から徒歩7分

入場料:2,000円


曲目(榎本のみ)

〈伴奏〉

ビゼー『カルメン』より

〈ソロ〉

セイシャス《ソナタ No.24 ニ短調》

ファリャ《ベティカ幻想曲》


予約・問い合わせ

当ホームページCONTACTより



 

 今回は伴奏でもソロでも出演します。


 クロマティックハーモニカ&ピアノでは、ビゼーのオペラ『カルメン』から、美味しいところをピックアップして演奏します。恐らく殆どの方が学校の音楽の授業など、どこかしらのタイミングで聴いたことのある曲たちでしょう。



 19世紀フランスで活動したビゼー(Georges Bizet, 1838-1875)は、現在一般にはせいぜいオペラ『カルメン』と劇音楽『アルルの女』によって名前が知られているばかりでしょうか。生前にはあまり評価されず、たった36歳の若さで世を去った後にようやく評価された不遇な作曲家であります。


 キャッチーな音楽のイメージが染み着いていますが、非常に凝った斬新な書法を用いる作曲家でありまして、もはや此度僕も伴奏をしてみてビゼーの評価を大きく変えたところです。特に『カルメン』など実はその中でも最たるものかもしれません。「この和声進行を一体どうやって思い付いたんだ…」という書法をフル活用して、ビゼー視点から見た(?)スペインの情景を描いていきます


 

 今回は先に伴奏を引き受けることだけが決まっていて、ソロ出演は後から決まりました。その選曲を『カルメン』に寄せてみようと考えて出した結果が、ファリャの《ベティカ幻想曲》でした。



 ファリャ(Manuel de Falla, 1876-1946)は20世紀にスペインで活躍した作曲家です。一時期は新古典主義に傾倒しましたが、常にその作風の根幹にあったのはスペインの民族音楽でした。ルービンシュタインの委嘱を受けて書かれた《ベティカ幻想曲》もまた、強烈な不協和音でスパイスを利かせつつ華やかな展開を繰り広げます。「ベティカ」とはラテン語でアンダルシア地方を指す言葉であり、フラメンコのステップや歌い回し、ギターのような素早いパッセージが描かれる音楽となっています。


 本当は最初に考えたのはこのファリャの1曲だけというプログラムでした。このファリャだけでも演奏時間は13分に及びますし、内容も詰め込めるだけ詰め込んだような曲ですので、弾く側としても聴く側としても充分な分量です。


 ただ、今回はその前にもう1曲だけ、短い曲を追加することにしました。それがセイシャスのソナタです。



 セイシャス(Carlos Seixas, 1704-1742)は、バロック後期のポルトガルの作曲家です。師匠はなんとあのD.スカルラッティ(Domenico Scarlatti, 1685-1757)でした。師匠譲りで、やはり鍵盤楽器のためのソナタを多く残しています…いや、厳密に言えば "残っている" でしょうか。


 1755年11月1日のリスボン大地震は、非常に多くの被害を生みました。マグニチュードは2011年3月11日の東日本大震災に匹敵するものであったと言われます。ポルトガルの首都リスボンでは揺れと火災によって全体の8割を超える数の建物が破壊され、それに伴って多数の芸術作品や歴史資料が失われてしまいました。


 なんとセイシャスの作品の大部分は、このリスボン大地震によって喪失してしまったのです。ちなみに、ルネサンスからバロックへの過渡期に活躍したカルドーゾの作品も同様に多くが喪失しました。幸いにも喪失を免れて残ったセイシャスの作品こそが、鍵盤楽器のためのソナタ群であるわけです。


 先日はD.スカルラッティを弾いたわけですが、そこからセイシャスへの流れは僕自身の中でも自然なものでした。最近は弾く曲が古典に傾いているので、ポルトガル・バロック→近代スペインというプログラムで近代路線に戻ろうと思うところであります。それにしても地域性もあるのか、セイシャスもファリャも非常に熱情的な音楽となっています。時代は違えど、その熱量に共通のものを感じられると思います。


 

 恐らく、としま区民センターにはそれなりの感染対策が敷かれるでしょう。消毒とマスク着用に加えて、確か客席が1席おきになるはずです。オミクロン株については色々な情報や噂が錯綜してしまっていて、2/13頃にどのような状況になっているかは僕にも想像ができません。現時点でこの演奏会は中止になっていませんが、充分に注意しながら開催できたらよいと思います。


 ちなみに2/19にも渋谷で演奏会があります。こちらはまた曲目が異なるので、別で告知記事を書きます。


 いずれもよろしくお願いします。





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