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ヨハン・シュトラウスⅡ世《ペルシャ行進曲》Op.289 ピアノ連弾編曲
Piascore
J.StraussII《Persischer Marsch》ピアノ連弾編曲 (ヨハン・シュトラウス2世) / 初〜中級
今年はヨハン・シュトラウスⅡ世(Johann Strauss II, 1825-1899)の生誕200年にあたります。基本的にはピアノとは縁遠い作曲家ではありますが、既に巷には代表作のピアノ連弾編曲がある程度リリースされているところでしょう。ちょっと調べた限りでも、《美しく青きドナウ》、《春の声》、オペレッタ《こうもり》序曲、《ウィーンの森の物語》、《南国のバラ》、《酒・女・歌》…等々のピアノ連弾編曲を見つけることができました。他にも作られていることでしょう。
普段は新ウィーン楽派を研究していると公言している榎本にとっても、シェーンベルク、ベルク、ヴェーベルンがワルツのいくつかを室内楽編曲しているという意味で気になる作曲家ではありました。彼らは私的演奏協会の財政難に抗うために編曲をしていましたが、偶然にも榎本も似たような状況です(爆)
ヨハン・シュトラウスⅡ世の作品の数がかなり多かったはずだとということはその作品番号を見ただけでもなんとなく想像がつくと思います。今パッと思いついた作品の中で最も作品番号が大きそうなものと言えば《皇帝円舞曲》Op.437ですが、きちんと作品番号を調べてみたところ、作品番号の付いている最後の作品は《ライムント時代の調べ》Op.479であるようです。
正直な話、J.シュトラウスⅡ世の500弱ある作品のうち、僕が知っているものは20曲にも満たないと思います。珍しい曲についてもせいぜい年始のウィーン・フィル・ニューイヤーコンサートで1回聴く程度です。もう少し現時点での代表作以外の作品も聴ける機会が増えれば、彼の音楽像における様々な側面が見えてくるかもしれません。
そのようなわけで手始めに選んでみたのが、《ペルシャ行進曲》Op.289です。J.シュトラウスⅡ世は1856年から10年に渡って夏にロシアのパヴロフスク駅舎でコンサートを行っていました。報酬がウィーンより断然高かったということが理由でした。この《ペルシャ行進曲》は1864年に作曲されましたが、どうやらガージャール朝ペルシャの第4代シャーであるナーセロッディーン・シャーがパヴロフスクに招かれていたようで、このイラン国王に捧げられるために《ペルシャ行進曲》は書かれたと思われます。当初のタイトルは《ペルシャ陸軍行進曲》だったようですが、同年のウィーン初演の際に現タイトルとなったようです。後の1873年にナーセロッディーンはウィーンを訪れました。
楽曲とは関係の無い余談ですが、ナーセロッディーン・シャーはイラン国王として初めて日本人に接触した人物でもあります。1878年に当時の駐露公使であった榎本武揚と面会しました。時代背景も見ると意外な人物同士の繋がりが浮かんできますね。
恐らくまだ異文化をリスペクトというよりは好奇の目で見ていた時代であったかもしれませんが、J.シュトラウスⅡ世も異国趣味を前面に押し出した作品を書いているという事実は、一般的なウィンナ・ワルツ王としての彼の音楽像からすると興味深いものであると思います。音使いにもその特徴が表れていますので、ただ弾くだけでなく、階名でソルフェージュしてみても楽しめると思います。
今年は不定期的にJ.シュトラウスⅡ世の編曲をしていこうと思います。曲のサイズや編曲の難しさにもよりますが、価格は各作品で変動するでしょう。是非とも販売サイトの更新やホームページ・SNSでのアナウンスを楽しみにお待ちください。
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