【楽典】2音間の音程問題の解き方
- Satoshi Enomoto
- 10 分前
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多くの楽典の教科書における2音間の音程を答える問題の解き方は、「一旦幹音に直してその幹音間における音程を導き出し、後で調号や臨時記号を見て長短増減を調整する」というものになっていると思われます。
僕自身も上述のような解き方を高校の授業でも受験勉強でも教科書に倣う形で習いました。そして、この数式的ないし作業的な解き方には全く馴染めず、自分なりの解き方をしていました。この記事では、榎本が実際に行っていたその解き方を書きたいと思います。
階名間における音程関係はどの調においても同じですから、つまりは階名間の任意の2音の音程がどのようであるかを覚えておけば瞬時に答えが出ます。覚えると言っても、紙面上で丸暗記するのではなく、実際に聴いて/歌って各音程を体感しておきましょう(これそのものがソルフェージュです)。
確認のために書きますが、以下は階名各音間における音程です。下方-上方の順で書きました。ソ♯は短調の導音として、レ♯は増6の和音として出現すると考え、以下に組み込んであります。ティ♭もナポリの和音として出現するのですが、こちらは一旦省きました。
【2度】
長2度(全音):ド-レ、レ-ミ、ファ-ソ、ソ-ラ、ラ-ティ
短2度(半音):ミ-ファ、ティ-ド、ソ♯-ラ
増2度:ファ-ソ♯
ちなみにですが、数の少ない方をチェックしておくことがコツです。例えば2度音程であれば、全てをいちいち覚えようとするよりも、「ミ-ファとティ-ド、ソ♯-ラが短2度(半音)」であることを体験しておきましょう。ティ-ドは長調における、ソ♯-ラは短調における導音-主音の関係でもありますね。
増2度の ファ-ソ♯ は和声短音階で見覚えがあるのではないでしょうか。
【3度】
長3度:ド-ミ、ファ-ラ、ソ-ティ、ミ-ソ♯
短3度:レ-ファ、ミ-ソ、ラ-ド、ティ-レ、ソ♯-ティ
減3度として レ♯-ファ や ソ♯-ティ♭ が出ることはごくたまにありますが、短3度よりさらに半音狭い音程として導き出すことはできるでしょう。響きがきついので実際の曲には使いづらいのですがね。
【4度】
完全4度:ドファ、レソ、ミラ、ソド、ラレ、ティミ
増4度:ファ-ティ、レ-ソ♯
減4度:ソ♯-ド
増4度の響きを入念に耳で体験しておきましょう。
【5度】
完全5度:ドソ、レラ、ミティ、ファド、ソレ、ラミ
減5度:ティ-ファ、ソ♯-レ
増5度:ド-ソ♯
減5度の響きを入念に耳で体験しておきましょう。
5度は4度の転回音程です。関係性を確認しておきましょう。
【6度】
長6度:ドラ、レティ、ファレ、ソミ、ティ-ソ♯
短6度:ミ-ド、ラ-ファ、ティ-ソ、ソ♯-ミ
増6度:ファ-レ♯
「増6の和音」の名称はこの増6度音程に由来します。短調のドミナントへ続く先行和音として出てくることがそれなりの頻度でありますので、知っておいて損は無いでしょう。
減6度は滅多にありませんので割愛します。
6度は3度の転回音程です。関係性を確認しておきましょう。
【7度】
長7度:ド-ティ、ファ-ミ、ラ-ソ♯
短7度:レ-ド、ミ-レ、ソ-ファ、ラ-ソ、ティ-ラ
減7度:ソ♯-ファ
7度は2度の転回音程です。関係性を確認しておきましょう。
「減7の和音」の名称はこの減7度音程に由来します。
これらを体得したならば、後はどのようにこれらを楽譜から読み取るかが鍵となるでしょう。
【楽譜に調号も臨時記号も記されていない場合】
この場合はト音記号の示すト音がソ、へ音記号の示すへ音がファ、ハ音記号の示すハ音がドに対応します。

【楽譜に調号が記されている場合】
この場合は調号を頼りにして楽譜上の階名の対応を当てはめることができます。
♯系の調号であれば、最も右側の♯の音がティに対応します。

♭系の調号であれば、最も右側の♭の音がファに対応します。さらに右から2番目の♭がドに対応することになります。

【楽譜に調号が記されておらず、臨時記号が記されている場合】
臨時記号が記されている場合は、臨時記号をヒントにして実質的な調号を推察して当てはめる解き方をお勧めします。臨時記号から適当な調を想像する力が求められます。

【楽譜に調号も臨時記号も記されている場合】
ソ♯やレ♯が単独でない形で用いられている場合、あるいはソ♯やレ♯以外の臨時記号が見られる場合は、臨時記号によって借用和音、内部調や転調が挿入されていると考えます。

【イレギュラー】
試験の点数を分けるために故意に変な音程を出題されることもあるでしょう。上記の階名的関係に当てはまらない場合、既知の音程関係を当てはめてさらに操作するという手法を取ります。

実際の作品の中でも、多調性の音楽や厳格な音列技法にでも踏み込まない限り、このような音程が出現することは稀かもしれません。
当記事冒頭に述べたような「一旦幹音に直してその幹音間における音程を導き出し、後で調号や臨時記号を見て長短増減を調整する」という解法は、この【イレギュラー】の解法をハ長調固定基準で徹底的に全適用したものとも言えるでしょう。実際の楽譜が全てハ長調であるわけがないのですから、全てハ長調と見做して解く解法は実践性を欠いていると思われます。
楽典がすっかり試験の点数を取るためのもの、あるいは単位を取るためのものになってしまっては、肝心の音楽には役立たないものになってしまうでしょう。楽典を音楽のためのものするには、紙上の言葉の計算ではなく、ソルフェージュ的実感を伴う解法に基づくことが求められると考えます。
