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  • 執筆者の写真Satoshi Enomoto

【演奏会告知】『彼方からの愛の歌』ベートーヴェンが様々な愛を託した歌曲集【2022年12月23日(金)】

更新日:2022年9月13日


 今年の12月には2つの大きな企画を控えています。別々に企画したもののはずが、図らずもドイツ・ロマンティック・リートのオメガ(シェーンベルク)とアルファ(ベートーヴェン)が揃う運びとなりました。


 12月11日(日)昼

 『架空庭園への道』

 シェーンベルク《架空庭園の書》Op.15


 12月23日(金)夜

 『彼方からの愛の歌』

 ベートーヴェン《遥かなる恋人に寄す》Op.98


 この記事では『彼方からの愛の歌』について書きます。




12月23日(金)

18:30開場 19:00開演


櫻井亮太 & 榎本智史

『彼方からの愛の歌』


会場

武蔵小杉サロンホール

昭和音楽大学附属音楽教室武蔵小杉校内


入場料

3,000円


曲目

ベートーヴェン

《アデライーデ》Op.46

《追憶》WoO.136

《遠い国からの歌》WoO.137

《遥かなる恋人に寄す》Op.98


予約受付



 

 ベートーヴェンは言わずと知れたクラシックを代表する作曲家です。彼の交響曲やピアノソナタのいくつかなどは、特に普段クラシックを聴かない人でさえもどこかで耳にしたことがあるでしょう。クラシックを専門に学ぶ器楽の演奏家たちにとっても、ベートーヴェンの作品は避けては通れない大きな山であります。


 しかし彼の作品でさえ、ほぼスルーされる分野のものがあります。それが声楽作品です。ベートーヴェンの歌曲はどれも声楽初学者にはハードルの高いドイツ語である上に、殆どの曲が重量感のある作品となってしまっています。しかも本人が卓越したピアニストであったことにも起因するのか、ピアノ伴奏も一苦労です。


 かくして、ベートーヴェンの歌曲は声楽家にもピアニストにも避けられる、あるいはもはや認知すらされない作品群となってしまったのです。


 今回の演奏会は、そんなハードなベートーヴェンの代表的な歌曲作品を集めて一気に演奏してしまおうという企画です。「そんなに中身がギッシリ詰まった曲なのに作品番号無いのか!?」と思うような曲さえあります。この演奏会が「ベートーヴェンの歌曲」に対する認識や評価を少しでも上げる切っ掛けになってくれたら嬉しいです。


 メインプログラムには連作歌曲集《遥かなる恋人に寄す》を置きました。6つの歌が切れ目無く続けて歌われる、15分かかる大作です。ベートーヴェンの創作歴の中でも特に "脂の乗った時期" である中期から、深淵に降りていく後期へと移っていくまさにその過渡期に作曲され、後の作曲家たちにも大きな影響を与えました。シューマンがこの作品を好んでいたのは割と有名な話だったりします。


 複数の歌曲がテキストや音楽において繋がりを持つ歌曲集を「連作歌曲集」と呼びます。西洋音楽史上にもいくつかその連作歌曲集の傑作が存在しますが、有名なものをピックアップした時には大抵この《遥かなる恋人に寄す》が最古のものとして挙げられます。探せば他にもあるんじゃないの?とも思うのですが、全曲が切れ目無く繋がっている上に第6曲コーダで第1曲が回帰するという形式は当時としては画期的だったのではないでしょうか。


 今回ラインナップしたプログラムには、ベートーヴェンの神への愛、自然への愛、人間への愛などが託されています。ソナタや交響曲ばかりではない、ベートーヴェンの意外な一面を見られるかもしれません。それはベートーヴェンの前に位置するハイドンやモーツァルトとも、またベートーヴェンの後に位置するシューベルトやシューマンとも異なる独自の歌の世界であります。


 共演はテノールの櫻井亮太さんです。公式プロフィールでは洗足学園大学声楽科出身と書かれていますが、音楽療法科の時は昭和音楽大学に在学していたので、実は一瞬だけ僕の大学の後輩だったという縁がありました。


 櫻井さんの古典派ドイツリート愛は僕を凌ぐほどのものです。ベートーヴェンやモーツァルトのリートなら僕もいくらか知って弾いたりもしていましたが、流石にハイドンまではよく知りませんでした。櫻井さんが大学で最も歌った作曲家はハイドンだというものですから、なんというか、類は友を呼ぶというのはなかなか本当かもしれないと思うところです。


 ベートーヴェンの多種様々な歌曲については今後順次言及していこうと思います。当日のご来場を心よりお待ちしております。ご予約は上記のメールアドレスまでお願いします。



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