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【出演後記】副次的文化系歌曲祭Vol.4に参加してきました

  • 執筆者の写真: Satoshi Enomoto
    Satoshi Enomoto
  • 10月1日
  • 読了時間: 3分
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 9/27に開催された副次的文化系歌曲祭Vol.4に、今回は伴奏者ではなく歌い手(ピアノ弾き歌い)として参加してきました!


 Vol.2とVol.3では伴奏と作曲で参加していたのですが、それ以後編曲にかまけて歌モノを作曲していませんし、またここ2年ほど自分の関わるコンサートでもちょくちょく独唱を披露する機会があるため、いっそこの副次的文化系歌曲祭でも一回やってみるかと思ったのがVol.3終演後の話です。


 各出演者の演奏内容についての言及は割愛しますが、回を追うごとに選曲や演出の幅が広くなっていっていることは大変に有意義であると思っています。映画音楽、ゲーム音楽、ポップス、CMソングなどのアコースティック編曲、オリジナル新作歌曲はこれまでも多く取り上げられてきましたが、ミュージカルや既存クラシック作品新釈演奏なども増えたように思います。ダンスやファゴット吹き語りもありました。そういえば言語も日本語だけでなく英語、ドイツ語、イタリア語、造語(多分)と多様になりましたね。また今回からは演読部門も創設されました(機が熟したら「演読祭」として独立予定?)。


 合唱祭ならぬ歌曲祭が他にあるのかは知りませんが、出演者各々が自分なりに「これをやりたい」「これが大事だと思う」ということを考えて表現に取り組むことによって多様性が発生する様は大変刺激的で心地の良いものです。


 普段から独唱をしている出演者については元々どんな音楽をする人なのかを既に知っていますが、このイベントには普段は合唱団の一員として活動する方が独唱で出演するところがとても面白いです。合唱となるとどうしても「個人の存在感」は一歩引いたものとして聴き手には届くでしょうから、一人一人の個々人がどんな音楽をする人なのかということはわかりにくいものです。そのような人たちが独唱で舞台に立って音楽をやってくれると「この人はこういう表現を大事だと考えて音楽に取り組んでいる人だったのか!」という発見を得られます。


 運営委員である菅生悠太さんが「副次的文化系歌曲祭」というタイトルを「歌曲系文化祭」と間違えていたという話がありましたが、僕はこのうっかりミスの内容についてはむしろ同意的ですらありまして、「歌曲系文化祭」という側面も確かにあると思ったのです。歌曲、つまり「歌う」という表現手段によることは出演者全員共通であるものの、歌うという行為を通して表現されるものは、出演者個々人のもつ「文化」であると考えます。ポップスに親しむ人もいれば、クラシックに親しむ人もいるでしょう。日本語に親しむ人もいれば、ドイツ語に親しむ人もいれば、イタリア語に親しむ人もいるでしょう。楽器を弾きながら歌う人も、踊りながら歌う人もいるでしょう。他にも沢山の要素が影響して重なりあって、その人独自の「歌」「表現」を作り上げていると考えます。特段あまりそのような意識は無いかもしれませんが、一人一人が体験してきた文化を背負って人は歌っているわけです。


 副次的文化系歌曲祭Vol.5は2026年10月4日(日)に決定したそうです。会場は今回と同じトーキョーコンサーツ・ラボ。作曲編曲伴奏と人員はいくらでもいる界隈ですから、現時点で編曲や伴奏のアテが無くても「ちょっと出演に興味あるんだけど…」という方はサクッと声をかけて参加してみるとよいと思います。編曲でも伴奏でもお手伝い致します。


 あなたが大事にしたい音楽表現はあなたが歌うことによって初めて聴き手に届きます。副次的文化系歌曲祭を聴きに来る人たちはそれを受け止める準備をして来ていますので案ずることはありません。舞台に立って歌おうとする人が一人増えるだけでも、確実にこのイベントは音楽表現の幅を広げるでしょう。

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