top of page

【出演後記】合唱団DIOとして湘南合唱祭に参加してきました:間宮芳生『合唱のためのエチュード』

  • 執筆者の写真: Satoshi Enomoto
    Satoshi Enomoto
  • 7 日前
  • 読了時間: 3分

 6/7(土)、ひらしん平塚芸術文化ホールにて開催された第72回湘南合唱祭に合唱団DIOとして参加してきました。その当日と、それまでの練習を含めた日記です。




 今回合唱団DIOが演奏した曲は、間宮芳生『合唱のためのエチュード』よりⅥ「風流」、Ⅳ、Ⅷ「ハーモニー」でした。現在、合唱団DIOには活動中のソプラノのメンバーがいません。標準的な混声四部での演奏は望めず、変則的な編成でも演奏できる曲を探し、複数の候補が挙がったのですが、結果的に「譜読みが早く終われそう」「ソプラノが欠けていても歌えそう」という点が大きかったためにこの作品を歌うこととなりました。


 目論んだ通り、ソプラノが欠けていてもパートを充足させることはできましたし、譜読み自体も早く終わりはしました。しかし、このエチュードの本当の難しさは譜読みにはありませんでした。むしろ、日本や世界の民族音楽からの要素を採り入れた、狭義の標準的な合唱の範囲内に到底収まらない技術を要求されることが、本当に難しい点であったと言えると思います。


 能楽の謠いや、中央アフリカのピグミー族のホケット、ポリリズムなど、全く馴染みの無かった音楽と向き合うことになりました。百歩譲ってアフリカの音楽に馴染みが無いのは仕方が無いにしても、日本の伝統音楽の要素に対してここまで苦戦することになるとは思ってもおらず、僕自身もショックを受けました。曲の提案者は僕なのでソロとタンバリンも引き受けましたが、それこそ本番の時点ですら「どう歌えばよいのかがまるでわからない」まま突っ込むという体験をしました。


 正直、今回の演奏は消化し切れていなかったように思います。それは決して練習不足だったからではなく、この『合唱のためのエチュード』が要求する音楽が、普段の僕たちがやっていた「合唱」よりも遥かに広い範囲に及ぶものであったからです。この作品は『"(広義の)合唱" のためのエチュード』であったわけです。そこに馴染むためには、数ヵ月では短かったというだけです。


 「合唱はこのような声で歌いましょう」「楽譜通りの音高と音価で歌いましょう」「パート内で音をピッタリ合わせましょう」などといった常識を打ち破ることが課題だったのでしょう。決して整えられた綺麗な合唱が悪いというわけではないのですが、しかし「声による音楽」の可能性は、僕たちが合唱の常識だと思い込んでいるものよりもずっと広いものなのでしょう。それを思い知ることができただけでも、大きな収穫だったと個人的には満足しています。


 また、今回の取り組みを通して、団員各々が日本の伝統音楽や世界の民族音楽について調べたり聴いたりしたことも実りになると思っています。ちょっとやそっとで真似できるものではありませんし、本当にその技術に到達するには長い年月がかかるはずですが、しかしそれらの美観への理解や音楽への体感は、確実に一人の人間の中の「音楽」の範囲を拡げてくれるでしょう。




 さて、合唱団DIOの次の活動は未定ですが、最近は階名唱に馴染んできたせいか「移調すれば一般的な合唱曲も結構歌えるんじゃね?」という灯台下暗しなアイデアが出ましたので、もしかすると久々にスタンダードな合唱をすることになるかも…などと個人的には考えていますが、また団員総会で意見出しが行われるでしょう。


 合唱団DIOは藤沢市湘南台を拠点に活動中です。今年度の団費は年10,000円(楽譜代別)です。指導者を立てず、団員全員で知恵を出しあって音楽を作る "Do It Ourselves" な合唱活動に、あなたも参加してみませんか?


 皆様の見学・参加をお待ちしております!

Comments


bottom of page