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執筆者の写真Satoshi Enomoto

【コンサート後記】榎本智史ピアノリサイタル『十二音の色彩 シェーンベルク生誕150年によせて』



 先月19日にリサイタル『十二音の色彩 シェーンベルク生誕150年によせて』を開催させていただきました。大抵このような所謂"人を選ぶ"タイプのプログラムのコンサートは客層も内輪になりがちなのですが、今回は初めましての方々や遠方の方々(西日本からも!)が比較的多くお越しくださりました。大変ありがとうございました。


 演奏に集中しすぎて頭が真っ白になりまして、アンコールの曲について何も情報を提供せずに弾いてしまったので、今更ですがここに書いておきたいと思います。ロシアからフランスに渡って活動した作曲家、オブーホフ(Obukhov または Obouhow, 1892-1954)のピアノ小品《互いに愛し合いましょう Aimons-Nous les uns les Autres》でした。シェーンベルクらやハウアーともまた異なる考えに基づいて十二音を用いた作曲家として知られます。


 ご来場くださった方々がちらほら感想を書いてくださったので、リンクを紹介しておきます。


 

榎本智史ピアノリサイタル『十二音の色彩』~シェーンベルク生誕150年によせて~


 

好きを追究した最高の形 - のぶのぶの音楽雑記


 

【Vlog】無調と十二音技法のピアノ曲オンリーの激ヤバコンサート観てきた!【のらクラシック部】


 

 個人的に反省すべき課題は演奏面にも分析面にも色々ありつつ、こんなプログラムでコンサートをしようとした場合はこんな感じになる…ということを一度やっておけたということで意味はあったと思っています。同じプログラムでもう一度リサイタルをやるのが今後いつになるかはわかりませんが、それぞれの作品は折々で取り上げつつ、いずれ再挑戦することにはなるでしょう。


 まだ今回はシェーンベルクの《5つのピアノ曲》Op.23のうちの第1曲~第4曲、ならびに《ピアノ曲》Op.33bを(ついでに習作の方の《3つのピアノ曲》も)取り上げていません。この後は他の作曲家の作品にも取り組みつつ、じっくりとこれらの作品も読んで練習していきます。すぐにとはいきませんが、そのうち演奏しますね。


 自分の中では、シェーンベルクらの音楽は生命的な熱量を内包する音楽であると考えております。音列や数字の操作から連想され、世間に言われる「冷たい」「頭でっかち」とは逆の、むしろ理性を振り切って突き進む信念の音楽であると思います。今回のリサイタルのお客様の感想を確認してみると、全部とは言わないまでも、そのような僕の考えはある程度は伝わっているようでした。ありがたいものです。


 実はこれで年内のピアノソロの公開の本番は全て終了しました(非公開はクリスマスシーズンのものがまだあります)。突発的に何かを企画実行しない限りは、次に公開でピアノソロを弾くのは来年の2月頭になります。今年リサイタルの準備企画として行った試演会『私的演奏協会』シリーズは、今後は新ウィーン楽派周りからも扱う範囲をさらに広げて続けていきたいと思います。またどうぞよろしくお願いします。

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