『私的演奏協会Vol.2:ベルク《ピアノソナタ》Op.1』
2024年4月27日(土) 14:00~ / 15:30~
各回定員15席 要予約
各回所要時間:約1時間(休憩無し)
15分前開場
会場 空音舎(京急「雑色」駅より徒歩)
入場無料 投げ銭歓迎
予約申込メール info@virtuoso3104.com
演奏・解説:榎本智史
曲目:ベルク《ピアノソナタ》Op.1
♪解説途中での質問可
♪部分ごとの演奏リピートリクエスト可
♪聴くことに集中していただくためレジュメはありません
先日から、特定の音楽作品をピックアップして解説や繰り返しの実演を聴きながらその音楽に馴染む企画を始めております。Vol.1は集客が残念な事になっていましたが、めげずに続けていきます。
シェーンベルクの生誕150周年を理由に開催を思い立った企画ではありますが、シェーンベルクの門下生やその周囲の作品も取り上げていきたいと思います。そのようなわけで、早くもVol.2にして門下生ベルクの出世作《ピアノソナタ》Op.1をピックアップします。
ベルクはシェーンベルクの門下生なのだから、やはりシェーンベルクのような音楽なのではないか…と思ってしまいがちかもしれませんが、ベルクの音楽は濃厚な抒情性・耽美性を強くもったものとなっています。それでいて意外なことにブラームスを好み、徹底的にその作曲技法も反映されています。
事実として音遣いは複雑なので、聴き手にとって聴き始めは戸惑う作品であることは否定できません。それでもシェーンベルクのピアノ曲と比較すれば表情は掴みやすいでしょう。ピアニストたちには根強い人気を誇っていて、演奏機会にはかなり恵まれている作品であるはずです。
楽譜の1ページ目だけ上に載せましたが、パッと見では臨時記号の多さに圧倒される一方で、じっくり読んでみると動機労作による強い構造性を指向した跡が見えてくると思います。聴覚上では確かに複雑ではあるものの、聴き馴れてくるとこれらの聴覚情報をキャッチできるようにはなるものです。
冒頭の動機を様々な形で駆使して音楽を作り上げるというやり方はベルクやシェーンベルクのオリジナルではなく、主にドイツ系の作曲家たちが試行錯誤してきた方法です。特にベルクやシェーンベルクに直接的に影響を与えたのはほぼブラームスであると言って良いでしょう。
この書法の徹底性を理由に音楽家の間では知名度が高い作品なのですが、ではこの「冒頭の動機を駆使して一つの音楽を作りきる」という書法によって、音楽上において何が叶えられたのか、表現上においてどのような構成が可能であるのか…などといった視点を交えながら、4/27の私的演奏協会は進行していきたいと思います。
前回の私的演奏協会では午前の回を設定したものの殆ど人が来なかったため、今回は午後にまとめてしまいました。傑作にして怪作、ベルク《ピアノソナタ》Op.1を存分に味わう会、ご来場を心よりお待ちしております。
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