top of page
  • 執筆者の写真Satoshi Enomoto

【楽譜販売】『混声四部合唱のためのハーモニー・エチュード第1巻 長調による99の練習曲』:階名でザクザク歌う和声課題集


 指導者たちの熱心な活動あっての成果か、階名を導入する合唱団がじわじわ増えているのを感じています。僕が所属する合唱団DIOや、伴奏を務めている横須賀国際合唱団なども階名によるソルフェージュ訓練を導入しています。


 単旋律で歌える階名の教材としては既にコダーイの《333のソルフェージュ》、大島俊樹先生の『77のウォームアップ集』、櫻井元希先生の『旋法とヘクサコルド』などがありますし、本格的な合唱のためのエチュードも松下耕先生のものがあります。ところがその間の「簡易な和声をハモることに特化した教材」が見当たらないことを、僕も気にしていました。


 見当たらないならば自分で作ってしまえ!という勢いで出来上がったのがこの課題集です。


BOOTH




 第1巻は長調による課題を99曲収録しました。なぜ100曲でないのかと言えば、コダーイや大島先生がゾロ目の曲数に拘っているからです。


 本来は短調と併せて練習すべきではあるのですが、課題パターンを色々と書き出してみたところ、長調と短調を網羅しようとすれば作曲と浄書の作業に倍の時間がかかり、そのぶん世に公開するのが遅れると考えた結果、泣く泣く長調と短調を分冊することになりました。第2巻として短調の課題集が出る予定(時期未定)です。


 

 まず本書は、混声四部合唱の編成を対象とした、階名で歌うドリル式の和声練習曲集です。様々なパターンを書き出しましたので、99曲全曲に片っ端から取り組むことを推奨します。99曲と言うと途方もない印象を受けるかもしれませんが、半分以上は和音が3つから4つ連なる程度の非常に単純な短いものです。


 この巻に臨時記号は登場しません。あくまでも基礎となる階名の性格や長調の力性の体得に注力していただきたいという目的からです。


 その一方で、音部記号や調号については幅広いヴァリエーションを用意しました。馴染みのあるト音記号(高音部譜表)ならびにヘ音記号(低音部譜表)のみ、さらには特定の調に限ってしまうと、五線譜上の絶対的位置としての固定ドが発動してしまう人がいるかもしれません。五線譜上を動く(動いているように見える)ハ音記号による様々な譜表を採り入れることによって絶対的位置という観点の発動を妨げ、一方で階名認識によればすぐにハモれてしまうという細工を施してあります。♯及び♭の数は0~7まであります。


 本書内にも書いたのでここでは割愛しますが、調号と五線を見て階名の対応を読み取る方法も載せておきました。簡易な解説となっていますので、より詳しく理解したい方は大島俊樹先生の『77のウォームアップ集』にも取り組むことを推奨します。また、和声の機能は階名認識の結果であるという考えから、和音ごとの機能などは表記していません。この練習曲集を歌って和声の力性を体得した後で机上の勉強をしたとしても、それは全く遅くないばかりか、体験と結び付いたより深い理解を得られるようになると思います。


 また、課題を移調して歌うことは強く推奨します。積極的に「異なる高さでも力性は同じ」ということを味わっていただきたいと思います。これもまた絶対音高を気にしていてはできない技術でしょう。移調してもなおそれがきちんと歌えた時は成長を感じられると思います。


 ちなみにこれはBOOTHに公開する前から指摘されたポイントなのですが、ハ音記号を大量投入したことが「合唱に限らず読譜の練習にもなる!」と喜ばれています。個人的にはそこまでの意識は無かったものの、それぞれ別の譜表で書かれた4声を読んで一人で鍵盤で弾く…という使い方もできるようです。


 

 他の階名のドリル式教本と比べると、本書ではどうしても各シラブルが調性・機能和声に接近した性格をもっています。本来の階名は調性や機能和声を前提としません。それでも、本書に取り組むことによって階名が調性・機能和声にも通じていることは体感できるでしょう。調性が「どのように形成されているか」を体験を通して考えることは、これからの個々人の音楽活動を豊かにしてくれると信じています。


 売れ行きが軌道に乗るようであれば紙の冊子での発刊も視野に入れていますが、しばらくはダウンロード販売となります。お買い求めいただければ幸いです。

閲覧数:64回0件のコメント

Comments


bottom of page