
私的演奏協会
ラヴェル《水の戯れ》《ソナチネ》
2025年4月29日(火祝)
各回15分前開場
14:00~《水の戯れ》
15:00~《ソナチネ》
ピアノ・解説
榎本智史
会場 空音舎
東京都大田区南六郷2-5-10
サンアイランド102
京浜急行「雑色」より徒歩
定員各回15名
入場無料
投げ銭大歓迎!
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または当ホームページCONTACTより
何度か発信している通り、今年はラヴェル生誕150年とサティ没後100年のメモリアルイヤーであるということに託けて、上半期は近代フランスに自主的に取り組んでいます。既にコンサートとしては5/25『象徴と時間 近代フランス音楽の開拓者たち』を告知しましたが、やはりその前にも久々の私的演奏協会企画を打っておきたいと思います。
改めて説明しますと、私的演奏協会は、元々は作曲家シェーンベルクらが当時の最新の音楽を研究し、アマチュア層にもその知見を共有する目的で開催した試演会のことです。榎本はこれを真似しまして、去年はシェーンベルク、ベルク、ヴェーベルン、ハウアーの作品を取り上げて複数回開催させていただきました。
今後からはシェーンベルク周辺のみならず、扱う範囲を拡大して開催していきたいと思っています。遅くなった今年の第1弾として、ラヴェルに焦点を当てます。《水の戯れ》《ソナチネ》をシェーンベルクは当時の私的演奏協会では取り上げなかったようですが、今回は榎本が後々コンサートでも弾くということで、練習する過程で気付いたことや考えたことを共有すべく取り上げます。
流石にこれら2曲については既に弾いてレパートリーとしているピアニストも多いことでしょう。一方で榎本はどちらかというと、これまでラヴェルにはあまり親しみを持ってこなかった側のピアノ弾きであります。フランス音楽にどっぷり浸かった視点からのラヴェルではなく、むしろ同時代の十二音音楽などを弾いた演奏者視点からのラヴェルについて提示できたらと思っています。普段のマンツーマンのレッスンのような濃度の話までは物理的にできないと思いますが、音階や和声、ピアノ書法の話も今回は出てくると思います。
これまでも行っていたことですが、この会では曲を通して弾くだけでなく、部分ごとに区切って弾いたり、和声を抽出して弾いたり、声部ごとに弾いたり、故意にテンポを落として弾いたりといったことも採り入れています。様々な形で繰り返しじっくり聴いていただくことによって耳を音楽に馴染ませることによって、斬新な響きの音楽も受け入れられるようになるのではないか…という考えに基づく取り組みです。会が終わる頃には、これらの音楽にすっかり馴染んでいるかもしれません。
《水の戯れ》はラヴェルがパリ音楽院在学中の1901年に書いたソナタ形式と捉えられるピアノ小品です。象徴派詩人ド・レニエの詩『水の祭典』から「水にくすぐられて笑う河神」という一節が題辞として掲げられています。どうも原題の"Jeux d'eau"は組噴水のことらしいという話も読みましたが、いずれにせよ水の様々な様態を想起させるサウンドによって人気の高い作品でしょう。一方で初演当時は斬新な和声感によって不評だったという話もあり、好評と不評の理由が重なっていそうなところも解き明かしていきたいところです。
《ソナチネ》は1903年にラヴェルが音楽雑誌主催の作曲コンクールのために書いた3楽章構成のソナチネです。ソナタ形式の第1楽章、メヌエットの第2楽章、ロンド形式(ソナタ形式の要素も入っている?)の第3楽章から成り、第1楽章の第1主題の動機が様々に姿を変えながら全楽章を貫きます。単一の動機から全体へと発展するという形態はまさに十二音技法の発想とも共通するものでもあります。
今回は一日の中で2曲とも取り上げます。14:00~14:45で《水の戯れ》、15:00~16:00で《ソナチネ》を解説演奏する予定でいます。どちらか片方を聴いても構いませんし、両方通して聴いても構いません。ただし座席数に限りがございますので、その調整のために申込時に片方だけ聴くか両方とも聴くかを併記してご連絡ください。基本的に入場無料ですし、こちらは単純に座席数だけを気にしているだけで受付などはありません。
毎度の通り基本入場無料ですが、赤字前提の自己研鑽・社会奉仕だと考えて開催しております。もしもご来場の上、内容にご満足いただけたようでしたら投げ銭をいただけると大変幸いです。重ねてどうぞよろしくお願いします。
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