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  • 執筆者の写真Satoshi Enomoto

【演奏会告知】On Line / On Live『ハーモニー探求』


 まず、告知の前に。その場で譜読みから始めてアンサンブルする企画『アンサンブルの作り方』が無事に終演しました。初の試みでしたので、今後やり方を改善しつつ色々な曲を題材にして続けていけたらと思います。この後記はラジオの方でそのうち喋ることになるかと思いますので、そちらもチェックしていただければ幸いです。


 

 さて、急遽入りました演奏会…というか、ライヴの告知をさせてください。


 榎本智史、オンライン生配信ソロライヴです。



2021年6月27日(日)

19:00開演(19:45終演予定)


On Line / On Live 2021

Piano Live Series Vol.4

榎本智史『ハーモニー探求』


PiascoreピアノスタジオYOKOHAMAより生配信

チケット:1,500円


3日後まで視聴可能


プログラム

不思議なハーモニーをもつ様々な作品集

・神秘のハーモニー

・色彩のハーモニー

・感情のハーモニー

・自然のハーモニー

・即物のハーモニー

(具体的な曲目は当日のお楽しみ)

 

 Piascoreの小池宏幸さんからライヴ出演のお誘いのメッセージをいただいたのはつい先週の話です。実はGWにも仲間のピアニストたちが出演していたのでこのライヴシリーズの存在は認識していて、出演者募集の告知を見た友人が直接僕にリンクを寄越してきたりもしていたので、そのうち名乗りを上げるのもありかな、くらいに考えていたところなのでした。


 そこにまさか直接お誘いが届いてしまっては断るわけにはいかない。演奏時間はMCを入れて30~45分ということですから、今までに弾いた曲を集め、初出しになる曲を交えてどうにか一つのテーマにまとまらないか…と考えた結果が『ハーモニー探求』というタイトルでした。すぐに持ち出せそうな曲が19世紀後半~20世紀前半に偏っているのでそうもなります。


 そんなわけで、実は既に曲目は自分の中ではほぼ確定していますので、紹介ページにラインナップをずらっと並べてもよかったのです…が!


 曲目を公開するということは、曲目を売り文句にするということを意味します。それは僕の意思とは無関係に、です。普段から曲目をセールスポイントの一つにしていることは否定しませんし、それ自体に抵抗があるわけでもないのですが、どうしてもそれによって "曲目への興味" を基準に演奏を聴く / 聴かないを決められる面はあると感じます。その曲を弾くなら聴く…というのはありがたいことですが、その曲を弾くなら聴かないという選択肢も現実にはあるわけでして。


 マニアにウケても、そうではない人たちに敬遠されることを、個人的には望みません。わかる人だけ来てほしいという姿勢は選民的で嫌なのです。「知っている作曲家の名前が無いから聴かなくていいや」と思われるのは僕にとっても損なので、ならば最初から作曲家と作品は非公開にしておけ、ということです。これでチケットを買うか買わないかは博打です。


 

 …とは言いつつも、博打はさすがに商品としてよろしくないでしょう。確かにお金はいただくわけですし。ならば作曲家や作品とは別の観点からPRするのもアリではないかと思い至った次第であります。即ち、音楽が持つ様々なハーモニー(和声)が、どのような発想のもとに構成され、どのような情感を聴き手に喚び起こすかということをテーマにPRを試みたいと思うのです。


 これならば、クラシック音楽に関して興味が無くとも、不思議なハーモニーをもったJ-POPや映画音楽について興味がある人にもアプローチできるという寸法です。実は既に話のネタもあります。


 以下に、プログラムノートというほどのものではありませんが、ヒント紛いのポエムを書いておきます。クラシックに詳しくなくても、作曲家や作品に興味が湧かなくても、このイメージの中で気になるものがあったなら、あなたの好奇心が疼いたということです。



神秘のハーモニー

 "神秘" という言葉を聞いて、何を思い浮かべるでしょうか。人智を超越した存在を意識するかもしれません。普通なら手の届かない世界を描こうとした時に、普通の音楽では足りないわけです。神秘の世界を描くために考え出された大胆な方法とは?



色彩のハーモニー

 聴いた音楽が色として見える人たちが存在します。共感覚の中でも "色聴" と呼ばれる能力です。その影響もあってか、音楽と色彩を結び付けて考える作曲家たちも出現しました。絶妙な色彩は絶妙な響きによってこそ描かれ得るのかもしれません。これは、万華鏡のような音楽。



感情のハーモニー

 喜怒哀楽などの様々な感情を音楽に見出だすことは特殊なことではないかもしれません。しかし感情の中には、名状し難い、自分でもよくわからないようなものも存在します。感情の激化に伴って激化する音楽。ただの短調では、もうこの怒りや悲しみは鳴らせない! そこから迸った音楽とは?



自然のハーモニー

 夜の闇に耳を傾けてみましょう。何が聴こえますか? 葉がざわめく音? 虫の声? 人々の喧騒? 色々な音が溶け合って、アンサンブルを奏でているかもしれませんよ。世界はたくさんの音で溢れ満ちていて、常にそれらは響きあっています。さあ、耳を澄まして。



即物のハーモニー

 協和音と不協和音。その便宜的な区別は、聴いた時の快と不快の区別とは必ずしも一致しないでしょう。聴いた人の心の中では、全ての音が協和することもあるのです。ハモらない音なんて無い。それに気付いた時、世界は協和する…かもしれません。



 

 もしかしたらこれだけを読んで「もしやあの曲かな…?」と当ててしまう方もいるかもしれませんが、一応は当日のお楽しみということで黙っておいてください。榎本の性癖や動向を年単位で知っている人は全部当てる可能性もあるにはあります。


 そんなことよりも、せっかくのオンラインライヴです。コロナ禍で会場に足を運ぶのが怖いとか、そもそもクラシックのコンサートに興味は無いとかいう人たちも、ほぼお好きなタイミングや方法で視聴することができます。一般のクラシックのコンサートに比べると短い45分という時間で、チケットも比較的安めの1,500円という設定ですが、内容ぎっしりでお届けします。45分超えたらごめんなさい。


 毎度のように書いていますが、あなたの好奇心を持ってきてほしいのです。オンラインライヴがどんなものなのか(贔屓ではなく、本当にPiascoreさんの配信は綺麗です)、情感を喚び起こす音楽にはどんな仕掛けが施されているのか、榎本が好きと言っているアラウンド1900年の音楽とは一体どんな具合のものなのか…それに応えられるように、僕も頑張ります。

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