現時点で仕事としてやっていることと言えば、演奏(ソロより伴奏がメイン)、指導(個人で教えているソルフェージュ、音楽理論、音楽史、そしてコダーイラボ)、創作(作曲より編曲がメイン)の分野に大まかに分かれます。
この中で演奏の仕事は、コロナの感染拡大に伴って無くなることが多々ありました。このところは落ち着いているので、今の状態が続けば安定的に仕事ができそうです。
さて、その中でも伴奏の仕事においては、その実態についてコロナ前から感じていることがあります。
伴奏者というと、それこそ専属などでないならば、基本的には伴奏が必要な時、即ち何らかの本番がある時に呼ばれることになります。定められた本番に向けて、限られた時間内で音楽を擦り合わせ、本番が終わったら次の依頼者のところへと渡り歩きます。外から見えているよりも、この仕事は断然忙しいものです。
まず、依頼者と伴奏者の時間的都合が上手く噛み合うとは限りません。本番までの合わせや稽古のために準備される時間は決して毎度潤沢にあるというわけではないのです。演奏以外の仕事もしている人が大半ですし、演奏だけで生活している人についても複数の現場を掛け持っているはずです。
そして、金銭的な問題もあります。誰しもが自宅で合わせ練習をすることが出来るわけではありません。ピアノを持ち込めて防音設備も整っている物件など、そう簡単に手が出るものではないことが殆どです(たまに良いところがあるようですが)。多くはスタジオを借りて練習することになるのですが、そのスタジオ代がかかるぶん、そう何度も機会を持つことは難しいでしょう。
時間もお金も気にせずにじっくりと音楽を作りこめたらなぁということは常々感じています。本当にやるとほぼ確実に採算は取れないので現状のやり方でやりますが、一つの作品をとことん追究する学生時代のような取り組み方がたまに恋しくもなります。
アンサンブルは一朝一夕に成るものではないと考えています。もちろん、共演者の音楽を汲み取って即時に上手く沿わせていく技能は必要でして、それによってすぐに理想的なところに到達できることを否定はしません。
しかし、共演者それぞれの音楽がちょうどよいところで交わって安定するためには、それなりの手間と時間を要するはずです。同じ人との演奏でも曲が違ったり、同じ曲でも演奏者が違ったり、さらには同じ人と同じ曲をやるにしても前回と今回で考えたことが違ったり、もはやその1回1回ごとに程度の多少はあれどリセットに近い位置からまた始めねばならないものなのかもしれません。
冗談で「月に10万円が降ってきたらそういう余裕もできるのに…(笑)」などということを言ったりしつつ、できる限りの範囲で努力しようと思うところです。共演者の音楽を汲み取るのが早いのは良いことですし。
願わくばスタジオかサロンの付いた家が欲しいですし、そこで時間もお金も気にせずにアンサンブルし放題ができたらとても楽しいでしょうね。はい、絵に描いた餅でした。
Comments