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  • 執筆者の写真Satoshi Enomoto

【振替公演】『和声:変革の時代』…覆る近代音楽史【2020.5.9】

更新日:2020年3月23日




【振替公演】

上路実早生レクチャーコンサートvol.2

『和声:変革の時代』


2020年5月9日(土)

17:30開場 18:00開演

@武蔵小杉サロンホール

一般 3,000円 学生以下2,000円


プログラム

 シェーンベルク:3つのピアノ曲 Op.11

 スクリャービン:ピアノソナタ第7番『白ミサ』Op.64

 ドビュッシー=ラヴェル:牧神の午後への前奏曲(ピアノ連弾版)

 他、レクチャーに関連する楽曲


演奏と講義:上路実早生、榎本智史


予約申込:

 mirajeweb@gmail.com (上路)

 virtuoso3104@gmail.com (榎本)

 または当HPのContactフォームより


 

 本公演は、3月14日に開催されるはずだった公演の振り替え公演となります。

 当初は新型コロナウィルスの影響によるイベント自粛要請の期間をギリギリ免れていたのですが、自粛期間が延長されたことによって会場である武蔵小杉サロンホールが(昭和音楽大学附属音楽教室ごと)閉鎖されたため、やむなく開催見合わせとなりました。

 企画者2人で相談し、できる限り早く、しかし延び続けるイベント自粛をできるだけ逃れられる日程での延期開催に漕ぎ着けました。

 5月までに新型コロナウィルスが終息していることを祈りますが、

・予約申し込み必須(来場者全員の名前と連絡先の把握のため)

・手洗いの徹底

・会場内でのマスク着用

・体調の悪い方、酷い咳の症状がある方の来場ご遠慮

 を、よろしくお願いします。

 

 あらためまして、このレクチャー・コンサートについての説明をば。

 19世紀末から20世紀初頭頃、それまでのクラシック音楽における和声体系を支えてきた “調性” が崩壊したとされています。この和声変革によって、聴衆は新しい音楽に対して拒絶反応を起こした一方、音楽家たちは新しい和声のシステムを模索していくこととなりました。

 今回はその立役者のうち、特に重要な3人にスポットを当てます。長調・短調以外の旋法や全音音階を駆使したドビュッシー(1862-1918)、神秘和音を考案したスクリャービン(1872-1915)、無調からさらに12音技法を編み出したシェーンベルク(1874-1951)というキーパーソンたちの音楽語法を解き明かし、彼らが起こした “和声変革” とは一体何だったのか、音楽に何が起き、何が変わったのかに迫ります。


 上路実早生(じょうじ みさき)くんは大学と大学院での同級生です。大学院では彼がスクリャービン、僕がシェーンベルクの研究をしていました。僕が上路くんに出会ったのは高校3年生の時のコンクール全国大会ですが、その時も上路くんはスクリャービンのソナタ第10番を弾き、独自の異彩を放っていたことを覚えています。スクリャービンに関しては僕はまったく詳しくないので上路くんに丸投げします。


 一方の僕はもちろんシェーンベルク担当です。大学院時代に研究したのは実はピアノ作品ではなく歌曲の方、特に《架空庭園の書》Op.15という作品だったのですが、《3つのピアノ曲》Op.11の直前に書かれていた作品ですから当然関わってきます。

 また、これは意外に音楽家の間でも知られていないことではありますが、シェーンベルクは主にドイツ・オーストリア圏の作曲家の作品を勉強しながらその創作のアイデアの源にしていました(もちろんその他の国の作曲家の作品もリサーチしていたというオタクぶり)。現時点でこのレクチャーコンサートに向けてのレジュメを作っているところではありますが、ぶっちゃけシェーンベルク当人の作品分析より多くのページ数を他の作曲家の作品分析に割きます。モーツァルト、ベートーヴェン、ブラームス、ヴァーグナーにもスポットが当たることになりますので、シェーンベルクに興味が無くても彼らに興味がある方ならば来て損はないと思います。

 面白いのは、企画者2人とも研究を進める中で、この和声変革がどうやら当の3人の作曲家だけの話ではなく、クラシック音楽に対する見方をかなり遡って覆す内容になりそうだという事実です。このレクチャーコンサートを聴くことによって、色々な作曲家たちの作品にに対する視点が変わり、今まで聴こえてこなかった音楽が耳に飛び込んでくるようになるかもしれません。


 音楽を愛好する人たちにはぜひ聴きに来ていただきたいのはもちろんのこと、特に音楽家、音楽指導者、音楽を学ぶ学生たちに来てほしいと思っています。この企画は「この音楽はこういうもの」という硬直化した認識を打ち砕くためのものでもあるのです。

 シェーンベルクを「調性を解体し、不協和音で和声をめちゃくちゃにした音楽の破壊者であり、挙句の果てには12音技法とかいうやり方で音楽を数字の列にしてしまった」などと思い込んでいる音楽家や音大生すら少なくはないと感じます。これに関しては「本当にシェーンベルクは調性を解体しようとしたのか」という話も投げ掛けていきたいと思います。


・近代に限らず、クラシック音楽の歴史に興味がある人

・音楽における和声(ハーモニー)に興味がある人

・「無調」と呼ばれる音楽が何だったのか考える材料が欲しい人

・音楽を勉強している人

・音楽を指導している人


 以上の人たちにとって非常に有益な企画であると自負しています。

 このような時世ではありますが、どうぞよろしくお願いします。

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