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執筆者の写真Satoshi Enomoto

【レポート】Zoomで音楽学系レッスンやってみた

 ご存じのように、新型コロナウィルスの感染拡大を防ぐために、音楽家たちは演奏会や伴奏や対面レッスンといった従来の稼ぎ方を限りなく封じ込まれてしましました。僕は実家暮らしですから今までに非常勤講師業で稼いだ貯金を切り崩しながらどうにか耐えることもできますが、生活費をどうにかして稼がねばならない人たちは数多いことでしょう。

 雪崩を打って音楽家たちや音楽教室がオンラインレッスンを導入し始めました。やはり対面レッスンに敵わない点もあるにせよ、対面というやり方自体が自粛を求められた現状においては、最も活路が見出せる方法ではありましょう。


 というわけで僕も例に漏れず、Zoomを用いたオンラインレッスンを始めました。以前の記事でも書いたように、実技系のレッスンは機材環境に大きく影響を受けてしまうものですから、音楽学系レッスンを重点的にやっていこうという方針です。


 そして今日は、楽曲分析のオンラインレッスンを行いましたので、その感想というか、どんなことができそうかということをシェアしたいと思います。





 やり方としては、こちらのPC画面をZoomで共有し、資料や楽譜をお互いに見ながら解説、さらには質問を受けては答える、といった具合になります。


 予めどんなことをレッスンしてほしいか、何を知りたいかを聞き、それに基づいてレジュメ、楽譜、譜例を前もってPDFで用意しておくようにしました。Zoom内ではホワイトボードの機能もありますが、手書きでホワイトボードに綺麗な楽譜がすぐさま書けるかというと現実的ではないですし、また資料にあたるにも、見やすくホワイトボードにその場で書き写すのは無駄に時間を食います。画面共有とホワイトボードを切り替えるのも面倒ですし、相手にもこちらの方が見やすいでしょう。また、PDFは複数並べてすぐに切り替えできるのでレッスンもスムーズに運べると思います。


 それとは別に五線譜メモとしてFinaleの空五線を用意しておきました。今日のレッスンでは僕が慣れていないせいもあって予め書かれたメモを見せるだけに留まりましたが、その場で楽譜を書いて解説することも可能だと思います。もしくは質問などで上がったキーワードのメモのためにWordを開いておいてもいいかもしれません。


 これらは画面共有で相手に見せることができます。PCの画面全体共有と、指定された枠内のみ共有という2つのやり方ができます。僕は重要な情報をズームして相手に送るために指定された枠内の共有で行いました。


 また、ZoomではPCで再生されている音源を相手に届けることもできます。PCに入れた曲目でも、YouTubeを一緒に見ることもできるでしょう。工夫次第では手元の鍵盤で弾いて示すこともできると思います(僕は機材を持っていないです)。


 なお、手元のマイクの音量とPCで再生される音量のバランスが相手にどう聴こえているかは、喋っているこっちには判断がつきません。音楽を再生しながら「ここはこのようになっていますね!」という解説を挟むのは避けた方がいいでしょう。(本日レッスンを受けた方からのご指摘です。ありがとうございます)


 ちなみに、カメラは無しで行いました。ただ単に僕がウェブカメラを持っていないからです。注文しても既に入荷待ちみたいな状況でしょうし、カメラ無しでもそこまでやり取りに齟齬が生じることは無かったと思います。結局お互いに見ているものは基本的に楽譜ですからね。


 Zoomでは画面に文字や音符を書き込んでもらうこともできるはずです。こちらがFinaleで空の五線譜を用意し、相手の方から画面に書き込んで音を置く場所を指示してもらい、こちらがそこに音を置いていくことで、相手がFinaleを持っていない場合でも、和声課題をリアルタイムで解いてもらう方式のレッスンが可能になるかと思います。『ヒカルの碁』でヒカルと佐為が家で対局している時の方式…と言って伝わりますかね…?(古い) これはまた後日試してみますが。


 あとは、PDFやFinaleファイルで記録として残しておくことによって、レッスン後にまとまった資料を相手に送付することができます。画面越しに見てもらったレジュメ、解いてもらった和声課題などですね。従来ならプリントアウトして配布したり紙ベースで提出してもらっていたものがデータで素早くやり取りできる上に保管も楽というメリットがあります。紙だと嵩張ってきますし、データならばスマホに入れておいて確認して復習もできるでしょう。その作成を一挙に引き受けるのは教える側ですが、個人的には非常勤講師時代の教材作成に比べればどうってことはないです。


 

 まだこのようなオンラインでの音楽学系レッスンは僕も始めたばかりで、試行錯誤段階ではあります。やっていくうちにより良いやり方を発見できるかもしれません。レッスンがどんな感じになっていくかということは定期的にでも記事に書いていきたいと思います。今後とも見守ってやってください。

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