サブカル系の音楽を集めた合唱祭『副次的文化系合唱祭』に着想を得て開始された『副次的文化系歌曲祭』は、サブカル系の楽曲やオリジナル曲、さらには副次的解釈でのクラシック楽曲などを独唱(マイク無し)で歌うイベントです。
去年第1回が開催されましたが、今年の第2回に僕も参加することになりました。
副次的文化系歌曲祭 Vol.2
2023年11月10日(金)
18:00開場 18:30開演
会場 ムーブ町屋 ムーブホール
観覧無料(要予約)
演出家・俳優として活躍する三輪えり花先生の伴奏者として榎本の名前を載せていただいておりますが、実は最後2枠は榎本が書いた楽曲群となっております。
三輪えり花先生が歌うのは、僕が音楽を担当した『シェイクスピア遊び語り《テンペスト・大嵐》』からの独唱3曲です。《おいで白い砂の上》と《深い深い海の底》は精霊エリアルが王子ファーディナンドに向けて歌う歌、《海には二度と出たくない》は給仕ステファーノゥが酔っ払って歌う歌です。
えり花先生自身の手による訳を参照しつつ情景のイメージを聞きつつ、それを表現できるように音楽語法も色々考えたつもりです。特に今回の3曲では精霊エリアルと俗っぽい人間ステファーノゥの対照を音楽面でも聴いていただけたらと思います。
サブカル系を謳っているイベントにシェイクスピアというビッグネームが登場してしまうので、それはもはやサブカルではなくメインカルチャーも同然なのでは?と思う方も少なくないかもしれません。しかし、この3曲が歌い終わるころにはむしろ皆様の中にあるシェイクスピアのイメージが変わっていることでしょう…
そして、主催のLutherヒロシ市村先生が歌うのは、以前のLuther先生のリサイタルのアンコールで演奏され、笑いというよりは困惑と混乱の声が会場から起きた《シン・町田は神奈川》の独唱版です。
オリジナルはバス独唱と混声四部合唱とピアノという編成ですが、今回のために編曲致しました。Luther先生が「ソロバージョンは可能でしょうか?」と連絡してきたのは今年の1月末、僕が出来上がった編曲を納品したのは4月末のことです。準備があまりに早くて驚きましたが、二つ返事で対応致しました。
町田の所属を擦る内容のせいで歌詞ばかりがインパクトをもって聴こえてきますが、よく聴くと歌もピアノも捻ったことをやっています。連続する転調、テキストを詰め込む連符、イレギュラーな変位を持つ和音という合唱版にもあった要素に加え、独唱版にするにあたって曲を大きく書き変えた部分には新しい要素が入り込んでいます。技術的難度は明らかに独唱版の方が上でしょう。Luther先生と伊藤那実さんの気合でどうにか演奏していただきたいと思います。
蓋を開けてみれば今回もまた濃いラインナップが並びました。今回の出演者は確定しましたが、また次回の参加を狙ってどんなイベントなのかを視察しに来るのもよいと思います。観覧申し込みフォームが発表されましたらこの記事にも追記致しますので、どうぞ皆様お気軽に聴きにいらっしゃってください。
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