上路実早生レクチャーコンサートVol.2
上路実早生 × 榎本智史 特別企画
『和声:変革の時代』
2020年 3月14日(土)
17:30開場 18:00開演
入場料:一般 3,000円 学生 2,000円
会場:武蔵小杉サロンホール
(昭和音楽大学附属音楽教室武蔵小杉校内)
曲目:
シェーンベルク《3つのピアノ曲》Op.11
スクリャービン《ピアノソナタ第7番「白ミサ」》Op.64
ドビュッシー = ラヴェル《牧神の午後への前奏曲》
その他、レクチャーに伴う楽曲
予約申し込み:
mirajeweb @ gmail.com (上路)
virtuoso3104 @ gmail.com (榎本)
または当ホームページのContactページより
というわけで、大学と大学院の同期である上路 実早生(じょうじ みさき)くんのレクチャーコンサートシリーズの第2回に召喚されました!
「和声」という何やら難しそうな専門用語をタイトルに据えましたが、つまりは「ハーモニー」を日本語で言ったものです。
音楽において、同時に鳴っている音がどのような関係をもって和音になるか、そしてその和音がどのように連結されて音楽の性格になっていくか、というものだとざっくり考えてください。
ドとソは間が空いているような響きを生み出す幅をもった関係にあり(完全5度音程)…
ドとミとソが同時に鳴っていればドミソという和音(長三和音)になり…
ドミソ→ファラド→ソシレ→ドミソという和音を繋げると長調が確立される…
…といった具合です。
西洋音楽史上、和声の体系は時代が下るほどに複雑化しました。そして遂に19世紀末~20世紀初頭、つまり“近代”において、聴取や分析が困難なものが登場し、音楽界でスキャンダル(論争ならまだしも暴動さえも)を起こすに至ったのです。
その立役者は複数人存在します。
やはり最もわかりやすく革命者として認識されているのはワーグナー(Richard Wagner, 1813~1883)でしょう。1865年に初演された楽劇《トリスタンとイゾルデ》の序曲の独特な和声は今や「トリスタン和声」と呼ばれ、後世の作曲家たちに多大な影響と呪縛を与えました。
この作品が出現してしまったことにより、おそらく作曲家たちの課題は「これからの和声はどこに向かえばよいのか」を考えることになったのでしょう。ここから、作曲家たちはそれぞれに独自の考え方で和声語法の確立に力を注いでいきます。
さて、今回のレクチャーコンサートで取り上げるのは、その立役者たちの中でも特に突き抜けている3人、ドビュッシー、スクリャービン、そしてシェーンベルク。新古典主義の作曲家たちはごめんなさい。
ドビュッシーなんかは割と一般的にも人気のある作曲家だとは思いますが、スクリャービンとシェーンベルクを加えた各々の“和声”に着目した時、それを捉える術を持っている人は希少かもしれません。スクリャービンやシェーンベルクの音楽をどのように受け止めたらよいのかと戸惑う人もある程度存在するはずです。
レクチャーコンサートという形式の意義はそこにあります。いきなり聴いても受け止め切れない複雑な音楽を、詳細な解説を経て捉えられるような姿勢を整え、いざ音楽に向き合ってみたらどのように聴こえてくるだろうか、ということなのです。ドビュッシー、スクリャービン、シェーンベルクがどのような和声を考え出し、どのような音楽を作り上げたのか。それを知ることによって、耳が彼らの音楽を捉えられるようになります。
このレクチャーコンサートを聴きに来ることで得られるもの。それは、近代の斬新な和声に対する理解力とそれを捉えられる耳です。
もしかすると、昨日まで意味不明な音の連鎖にしか聴こえなかった音楽が、明日から豊かな色彩と情感をもって目の前に顕現するかもしれません。
僕も上路くんも、出来る限り噛み砕いてわかりやすく解説できるように頑張ります。好奇心と期待と入場料を携えて、未知の世界へ踏み出すつもりでご来場ください。
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